乗りなさい!突き破るのですあの岩を 大町や安曇の平地は、大昔は湖だったそうです。それは、下流の山清路というところで川が大岩で堰きとめられていたからです。
その頃、湖に住んでいた龍が八伏山の麓の泉というところで赤ちゃんを生みました(母を犀竜、父を白竜王)。泉小太郎と名付けられたその赤ちゃんは、成光時山のかたわらの農家で育てられました。
たくましく育った少年は、母龍にたのんで山清路の大岩を崩し、この湖の水を流そうと考えました。
小太郎の願いを聞いた母龍は、小太郎を乗せて東に向かってまっしぐらに大空を飛びました。
山清路に来ると、母龍は小太郎を乗せたまま大岩に向かって何回も何回も体あたりして、神通力でとうとう大岩を突き崩しました。
水は谷を流れ下って、新潟の方へ流れていきました。犀竜に因んで流れ出した川を犀川と呼んでいます。
そして安曇の湖は、今のような豊かな土地に変わったといわれています。
小太郎は十日市場川会に住み、のち父母竜と共にこの里の守護神として仏崎の岩穴に入り隠れました。