「猫鼻」(ねこはな)の地名 この付近一帯は古くから「猫鼻」と呼ばれ、下流の人々の大切な水はここで鹿島川から取り入れられています。また、付近一帯は水害が頻発した場所としても有名です。
「猫鼻」が初めて記録に見えるのは、寛永一五年(一六三九年)のことです。この年、雪解け水が溜まって付近一帯が大きな池になりました。下流では大水害の心配をしましたが、ある山伏がお祈りをしたところ、少しずつ流れ出したので人々も安心したということです。この地名について、水害防止のために猫を「いけにえ」にしたという話も伝えられていますが、実は左岸の崖の部分が飛び出た猫の鼻のように見える地形によるものです。
今、ここには「川除けの・・・」と刻んだ石碑が立っています。「川除」とは水防工事のことです。あたりには、かつて数万人の労力を投入して幾度となく築いた石積みの跡などが残り、祖先の苦労がしのばれます。