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矢田川の磨崖仏
八坂村には、道祖神などの石造文化財が村の面積や人口の割りに非常に多い。磨崖仏は、自然の岩に刻まれた仏様であり、村内には矢田川とさわら立に祀られている。大北地方でもあまりほかに見られない貴重な石仏であり、この地域にかつて生活した人々の信仰心の厚さがうかがえる。
「矢田川磨崖仏」は、嘉永三年(一八五〇年)の矢田川、小田谷、桑梨、田畑、曽山地区の人々が村内の石工、若林嘉久治に依頼し岩に諸仏を刻んだもので、矢田川の旧道沿いに祀られている。高さ六メートル余、幅四メートル余の砂岩の垂直な自然画を刻み、掘りこんだ岩の中には、大日如来の座像が安置され、庚申像、庚申塔、南無阿弥陀仏の文字なども刻まれている。又、若林嘉久治の作品は村内にいくつも残っているが、仏像の表情や曲線には独特な美しさと優しさがあり、その深い情感は見る者の心に迫るものがある。この磨崖仏では、地区出身の有志の人々によって先人の心を受け継ぎ、毎年お祭りが行われている。
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