◆仁科神明宮(大町市社1159)
⇒ 周辺地図⇒ 動画再生1
仁科神明宮
神明宮本殿中門(前殿)
国宝
昭和十一年九月十八日旧国宝に指定され、昭和二十五年八月二十九日文化財保護法の施行により重要文化財の指定とみなされていたのを昭和二十八年三月二十九日文化財保護法第二十七条第二項の規定により『世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の民』として、新たに国宝に指定された。
神明宮は仁科御厨鎮護のために勧請されたのであるが、その創始の年代は明らかではない。現存の社殿は、寛永十三年(一六三六年)松本藩主松平直政が式年造営を奉仕、藩士池田吉久を奉行とし、大工金原周防をして造替せしめたものである。社殿は、本殿と中門と両者を連絡する釣屋とから構成されている。
本殿は、桁行三間、梁間二間の神明造で、破風板がそのまま延びて千木となり破風板に鞭掛があり、妻には棟持柱があるなど構造手法に古式がうかがわれ細部は大体室町時代の様式を傳えている。これは文献の示す上では少なくとも永和二年(一三七六年)以来二十年目毎に式年造営が行われ、工人が世襲的に奉仕したためであらう。寛永の造営後十数回の修補を受け、昭和十四年保存法による解体修理が行われた。本殿は、神明造の原型式を濃厚に保存している点、建築史上貴重な遺構である。
また、修理を含む式年造営の棟札が保存されているが、明治以前のものが二十七枚もあるとは珍しく、これら棟札は文書にして重用文化財(昭和九年一月三十日旧国宝)に指定されている。
長野県天然記念物
仁科神明宮の社叢
指定年月日 昭和四四年三月一七日
指定面積 一九,二五七.七八−
この社叢は南に面した山の斜面にあって、南側は道路を隔て田畑に接するが、他に三方は直接山林に接している。入口に近い部分と社殿周辺に特に老巨木が多く、その大部分はスギとヒノキであるが、ほかにアカマツ、クリ、コンラ、ツガ、モミなどの大木も混じっている。
境内に入ってすぐ左に、幹囲五m、樹高五〇mを超える日本のスギの大木があるが、昭和五四年の突風により真中の一本を失うまでは、三本杉と呼ばれる美しいものであった。また、拝殿右横に残る切株は、かつて「仁科神明宮の大杉」として国の指定を受けていたスギの大木の名残で、根廻り一五m、目通り九mを超える巨木であったが、昭和五五年に枯死したため伐採し、後に指定解除となった。
このほかにも、幹囲二mを超える大木が数多くあり、また、林床木や羊歯などもよく育ち、他に類例を見ない美しい社叢となっている。
仁科神明宮郷土環境保全地域
この地域は、仁科神明宮の歴史的に特色のある自然環境を守るために指定されたものです。
仁科神明宮は、わが国最古の神明宮として国宝に指定されているほか数多くの文化財を有しております。
また、樹齢700年にも及ぶ杉、檜などの古木が林立する社叢は極めて優れた自然環境を形成しています。
この優れた歴史的自然環境を大切に守り育てましょう。